本書では、本作りの要ともいえる現役のプロ校正者たちが本作りの現場で発見した、または見逃してしまった誤植や誤用を豊富な事例で紹介している。 漢字変換のミス、成句や四文字熟語や慣用句のまちがい、同音異義語、語句の用法、送り仮名など、誤植の種類もさまざまなことが見てとれる。
「こんなことも知らなかったのか!」
「用法がまちがっていた!」
ときには編集者失格の烙印を押されたかのような気分に落ち込みながらも、ページをめくる手がとまらない。
「受賞/授賞/受章/授章」という項目を見たときには、思わずハッとした。数年前、ノーベル平和賞に関する本を編集したが、とうぜん「受賞」という言葉が頻出していた。
「受賞」と「授賞」は判別していた(はず)なのだが、はたして「受章」と「授章」に気づいていただろうか……といまごろ冷や汗がたらり。
本書を読了するころには、自分の誤植発見センサーが研ぎ澄まされている。編集者でなくとも、誰もが知っておいたほうがいいかもしれない、「赤っ恥をかかない」日本語がここにある。
ほんのちょっとでも怪しいと思ったら、億劫がらずに辞書を引くことだ。最初は面倒でも、しだいに日本語に対する感度がアップしていくはずだ。
「日本語の表記っていうのは、これが絶対正しいというのはまずないんだね。いつの時代でも揺らいでいる」と著者はいう。
日々変化する現代日本語と向き合って格闘する校正者たちのエピソードは、現場のドキュメンタリーともいえるし、校正という地味で重要な作業に従事する人へのエールともいえるだろう。(美)
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広報部長φ(ふぁい)
広報部長 : ガイア・オペレーションズ
2012年、福島県浪江町生まれ。ヘッドハンティングされ、2013年5月より、「美しい空と海と大地を楽しむ」暮らしを考える出版社、ガイア・オペレーションズに入社。現在、広報部長を務めながら、人間の暮らしを勉強中。
http://phi-cat.tumblr.com/
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