〈本作り〉にたずさわる、すべての人に
伝えておきたい編集技術
たのしい編集
本づくりの基礎技術─編集、DTP、校正、装幀
35年にわたって〈本づくり〉にたずさわってきた著者が、〈本づくり〉の伝統的な編集技術を、わかりやすく解説。編集にはじまり、DTP、校正、装幀など、現場で使える具体的な技術を紹介しています。
活版から電算写植、DTP、そして電子書籍への取り組みが進んでいるが、このさき、本づくりの現場はどうなってゆくのか。「未来」の章では、これからの本づくりに際して、どういう考え方、姿勢が必要かを、エッセイ風にまとめています。
編集者だけでなく、作家や翻訳家、ライターを目指す人、文字表現、文書作成などにたずさわるすべての人に、オススメの指南書。
〈本文〉より
本を読んだり、書いたり、つくったりするのは、とてもたのしい。
たのしいけれど、けっこう大変な作業でもある。
35年にわたって、僕は本を編集してきたが、いまでも、試行錯誤の連続だ。
あたらしい原稿をまえにして、どんな本に仕上げたいのか、いつもゼロから出発する。
だから、本のつくりかたについて、ちょっとしたアイデアやヒントをメモしておこうと思った。
それが本書だ。
目 次
第1章 編集
本づくりの正解はどこにあるか?企画から脱稿までの手順とポイント- 書名がすべて
- 小さな物語
- ニヒリズムは戸口に立っている
- 司馬遼太郎の決め台詞
- 白い緩衝地帯
- 自己顕示しない書体
- 動くか、止まるか
- 52字ヅメは読みにくいか
- 硬いか、柔らかいか
- 15ポンドは、うらめしいか
- ジョン・セバスチャン・バッチとは誰か
- 刑事コロンボの声
- インタビュー/翻訳家 越前敏弥氏 にきく編集者像
〈やさしく怒り、励ます人〉
第2章 DTP
もうひとつの編集作業。現場で役立つInDesignのテクニック- もうひとつの編集作業
- 自動の魔力
- 捜しものは、どこですか
- 二倍ダーシは泣いても別れない
- ( )は奥ゆかしい
- タテのものをヨコにする
- 異文化が美しくまじわる
- 欧文は欧文にまかせよ
- ルビの今昔
- やっかいな黒
- インタビュー/印刷コーディネーター 尼ヶ崎和彦氏にきく印刷のいろは
〈熱いぞ、これは〉
第3章 校正
悪魔は耳元でささやく。誤植を出さないための覚え書き- 校正おそるべし
- 形から音へ
- 一度にひとつのことしかしない人
- 最初の読者
- 悪魔は耳元でささやく
- アクロバットな方法
- 渡る世間は鬼ばかり
- うがった見方をしよう
- ことばの暴力
- 画竜点睛を欠く
第4章 装幀
デザインは戦略だ! 本への想いを形にする- ソウテイガイな話
- カミのみぞ知る
- 色即是空
- 螺旋の迷路
- さよならは〈打ち上げ〉のあとで
- インタビュー/装幀家 大森裕二氏 にきく編集者像
〈やりたいから、やる〉
第5章 未来
これからの編集者に求められるものとは? 電子書籍時代の伝統的編集技法を考える- 未来の編集者へ
- 当事者か、傍観者か
- おもしろいか、つまらないか
- オーラか、色気か
- 紙か、電子か
- 記憶か、体験か
- 深さか、広さか
- 洗練か、変化か
- 完璧か、妥協か
- 正解か、不正解か
インタビュー/プロに聞く、すぐれた編集者とは?
- 翻訳家:越前敏弥(『ダ・ヴィンチ・コード』『Xの悲劇)『インフェルノ』ほか)
- 装幀家:大森裕二(「世界で最も美しい本コンクール」銀賞)
- プリンティング・コーディネーター:尼ヶ崎和彦(大日本印刷)
- 各章末には、「プロの技に学ぶ」と題して、参考図書を紹介