vol.1 読谷村の日航アリビラホテルを訪問する
2013年7月20日
2013年6月14日(金)
読谷村へ出張。前回、那覇空港でレンタカーを借りるさい、かなり時間を要した。そこで今回は、空港からゆいレールで美栄橋駅まで行き、駅近くのレンタカー店で車を受け取ることにした。
ところが・・・なんと、ゆいレールが運行を停止している。あとでわかったのは、小禄駅付近で車両故障が見つかり、一時間ほど全線で運転を中止したそうだ。仕方なく、タクシーで美栄橋へ。車の受け渡しはすぐにすんだが、荷物を車に積み込んだあと、壺屋界隈の町の定食屋で昼食をとる。
ちょうど、天ぷらがあがるというので、エビとイカを注文した。揚げたての大きなテンプラは、とても美味しく、1本60円。120円たらずで、幸せがこみあげてくる自分をみていると、あまりにも安上がりな人間だとわかる。
そのあと、桜坂劇場のオープンテラスで、1杯200円の珈琲を飲みながら、同行の英ちゃん(英治出版社長の原田英治氏)と目があうと、おたがいに、意味もなく薄笑いを浮かべている。
那覇の真夏に溶かされて、すっかり、なごんでしまっているのだ。
そのあと、気を引き締めてジュンク堂へ挨拶へ行ったが、入り口で「かりゆし」の販売をしていて、ん・・・、ジュンク堂は移転したのか、とあわてたが、店内イベント販売のひとつだったようだ。とはいえ、あいかわらず、ふたりして、にやにやしてばかりいる。那覇にいくと、いつもそんな気分になるのである。
再度、気を引き締めて、読谷村にある日航アリビラホテルへ。高級リゾートホテルだが、スタッフの方々の笑顔がとても自然で、心地よい。前回とおなじく、最上階の眺めのよい部屋を用意していただき、恐縮する。
窓を開けてテラスへでると、そこは別世界・・・などと陳腐な物言いになってしまうが、本当に別世界なのだから仕方ない。上の写真の右下にあるペーパーナイフのように沖へのびている岬が残波岬で、灯台も見える。
その日の日没は7時23分で、逗子より25分くらい遅いだろうか。意味もなく、何か得をした気分になる。午後8時ころまで、空はうっすらと明るい。日が沈むころ、テラスから見える風景は美しく、リゾートホテルが販売しているのは豪華な設備や高級な料理ではなく、人の心をときほぐす仕掛けなのだと合点する。
写真の右下に見えるのが、アリビラのクリスティア教会。鋭利な尖塔が厳かな気配を醸しだしている。
深夜、英ちゃんとテラスで、残波の黒を飲みながらゆんたくしていると、彼が、「星がすごいね」と言ったので、首を真上にむけると、たしかに、すごい。三日月も、大きくて光が豊かで、内地でいつも見ている月より、精気をおびている。
屋根のない最上階のテラスだから、この絶景を味わえる。ことによったら、僕の場合は、このテラスだけで充分かもしれない。
雨さえ降らなければ、星を見ながら眠ることもできる。片岡義男の『時には星の下で眠る』というタイトルを懐かしく思い出してしまった。テラスで眠ればよかった、と思いついたのは、あとの祭り。
40億年もまえ、地球ができたてのころ、テイアという原始惑星が地球と衝突したという。いったん地球は破壊したが、ふたたび形を整え、現在の地球と月が誕生したという仮説だ。ビッグバンといい、このテイア仮説といい、気の遠くなるような夜
空の時間をさかのぼると、なんともいえない不可思議な感動がひろがってゆく。
ちなみに、テイアは、ギリシア神話に登場する女神の名前で、月の女神であるセレネの母の名前。
そういえば、ホテルのスタッフの方から聞いた話では、ホテル付近のビーチには、ウミガメの産卵があるそうだ。最盛期には、ウミガメが方向をまちがえないように、ホテルの灯りをできるだけ消すこともあるという。真っ暗なリゾートホテルのテラスから見る星空は、いったい、宇宙のどんな物語を教えてくれるのだろうか。
(つづく)