Vol.6 まどろむ比謝川
2013年8月20日
2013年6月17日(月)
喜名の番所から58号線を南下して、嘉手納町と読谷村の境を流れる比謝川まで戻る。読谷村の南の入り口、比謝川大橋から読谷村に入ってみたかったからだ。真っ赤に塗られた比謝川大橋から川べりに目をやると、人が立っている。釣り人だろうか。川は流れがなく、緑の池のように見えた。気持ちよさそうな木陰のある遊歩道を歩きたかったが、あきらめて、渡具知ビーチへ向かう。
猛烈な暑さのなか、ゆっくりと浜を歩いた。月曜日のせいか、人の姿はほとんどない。頑丈なコンクリートでつくられた東屋の日陰で、地元のオジイが昼寝をしている。射るような夏の光が、時の流れを押しとどめているかのようだ。ときおり、その光を切り裂くように、戦闘機が爆音をしたがえて嘉手納のほうへ消えてゆく。
白い道を歩いてゆくと、立派なアダンの木が立っている。ずっと見ていると、まるで人のように思えてくる。浜の右手にある岩場までいくと、若い男が、岩の上にすわって、海を見ている。暑くないのだろうか。さらに歩いてゆくと、三十半ばくらいの、アメリカ人の夫婦とすれちがった。
散策をきりあげて戻る途中、涼しげな木陰が目に入った。近づくと、どうやら御嶽のようだ。岩の斜面に、鳥がじっと立っている。東屋が、手入れのゆきとどいた芝生に黒い影を落としている。そこに腰をおろして、しばらく、ぼんやりと、水平線をながめる。少し眠くなってきた。このまま日が暮れるまで、昼寝をしたらどうかという誘惑に駆られる。
(つづく)