一冊の本が刷りあがり、書店に流通し、ようやくほっと一息・・・・・・とはならない。まだまだ、〈本づくり〉は終わっていないのだ。『たのしい編集』には、こう書いている。
だから、ぜひ打ち上げをしてください。愚痴や批判や言い訳ではなく、胸襟をひらいた、ざっかけない、ウィットに富んだ、たのしい〈打ち上げ〉を。(本文217ページより)
ということで、『たのしい編集』の仕上げとして、おなじみの新宿・阿津満で慰労会。ここは、越前敏弥さんのインタビュー「やさしく怒り、励ます人」に登場する「昔おせわになった寿司職人のおじいさん」が開いた寿司屋で、大日本印刷の尼ヶ崎和彦さんのインタビューもした思い出深い場所でもある。だから、打ち上げるなら、阿津満しかありえない。
著者・和田文夫「この本の目玉って、やっぱり三人のインタビューなんですよ。ほかはもう読み飛ばしてもらってもかまわない。僕自身、35年も編集者やってましたけど、三人から学ぶところが本当に多く、おおいに反省しました」
インタビューをしたのは、一年以上も前のことなのですが、ページを捲ると、あのときのことがまぶたの裏に浮かびます。みなさん、本が大好きだから、議論は白熱するし、話はどこまでも膨らんでいく。テープを起こしてみると、それだけで一冊の本ができるくらいの原稿になって、ありがたいやら、途方に暮れるやら。ページ数の関係で、泣く泣く文章を削ったのも、いまでは「たのしい」思い出です。
翻訳家の越前敏弥さんには編集者の理想像を教えていただき、長年、お世話になっている装幀家の大森裕二さんには本づくりの情熱を思い出させていただき、いつも親身になって印刷や製本の相談にのってくださる尼ヶ崎和彦さんにはモノづくりの神髄をご教示いただきました。(墓碑銘の文句—あとがきにかえて)
放送コード!? ギリギリのインタビューは、出版業界の人にとっては斬新、本好きな読者にとっては新鮮な内容になっていると思います。ひとりでも多くの方にご覧いただけたら、嬉しいです。
- 越前敏弥氏にきく、編集者像(1章)
やさしく怒り、励ます人 - 尼ヶ崎和彦氏にきく、印刷の〈いろは〉(2章)
熱いぞ、これは - 大森裕二氏にきく、編集者像(4章)
やりたいから、やる
「さよならは〈打ち上げ〉のあとで」と書きましたが、これでさよならは寂しいので、これからも末永く、ご指導ご鞭撻のほどお願いします。あらためて、越前敏弥さん、大森裕二さん、尼ヶ崎和彦さんに、心よりお礼申し上げます。
広報部長φ(ふぁい)
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