zafiro

12月 282012
 
 2012年12月28日  Posted by

すっかり寒くなってきました。日本酒と貝類のおいしい季節ということで、新宿の隠れた名店、寿司の阿津満にいってきましたよ。


今回のゲストは大日本印刷の尼ヶ崎さん。『フェアアイル・ニッティング』や『メルカトル・パノラマ』のプリンティング・コーディネーターをしていただいています。両書籍とも、社内で噂になるほどの出来映えだったようで、なんだかありがたいことです。一緒に本がつくれてよかったなぁ、とつくづく思うのです。色物をやるときはまず尼ヶ崎さんに相談せよと、全幅の信頼を寄せている敏腕営業マンです。それにしても、いつもいい笑顔♪


印刷所に入稿するときは、必ずといっていいほど、目の前の作業に忙殺されています。トラブルなんか日常茶飯事。でも店頭に本が並ぶ日はもう決まっているので、慌ててトラブルを収束するためにしゃかりきになり、ふと気づいたら製本されて店頭に並んでいる……そして、また同じような問題にぶち当たって悩まされるというサイクルに陥りがち。いや、毎回学んでいる人は違うんでしょうけど。でもね、たいてい前と同じようにいかないのが、この世界の仕事なんです。なんせ、点数は多いですが、一冊一冊の本はまったく別の商品なんですから、それぞれに合わせたつくりをしなくちゃいけない。誰かがマニュアルにでもしてくれたらいいんですけど。とっても非効率な産業としか言いようがない。

偶然別のお仕事で、暗黙知と形式知の話を聞く機会があったんですけど、この業界はまさに暗黙知の塊のような産業だなぁと。たぶん、ビジネス・メソッドなんかを研究しているような偉い学者さんからすれば、「衰退する産業」という烙印を押されても仕方がないに違いない。とまぁそんな悲観的な愚痴をいいながらも結局は本をつくっているわけで、そうなるとトラブルやミスを防ぐための最低限の知識はためておくべきで、こうやってじっくり印刷所会社の方と話すことは私たちにとってはとっても勉強になります。
「あのとき、なぜトラブルになったんだろう」
「そもそもどうやっていれば、スムーズに事が進んだんだろう」
気にはなっていたけど、なかなか聞く機会も時間もなかった、編集×印刷のよもやま話が酒の肴です。
今回もありましたよ。
「えっ、あれって本当はこうだったの!?」的な話。
知っているようで、知らなかったこと、知っていたつもりになっていたことのオンパレード。

「千と千尋の神隠し」で出てくる、釜爺がいましたよね。蜘蛛みたいな足がにょきっと薬箱に伸びていろんな湯の薬を調合してるんですが、尼ヶ崎さんはまさにあんな感じ。決して禿げているわけではありません。
「ブラックに深みをもたせるために、以前はこういう処理をしていたけど、今回、なぜそれが出来なかったんですか!?」
なんて質問を投げかけてみると、足がにゅーんって伸びて、引きだし開けて、
「あれは、両面ブラックを基調とした写真集だったので、ここまでインクをもると、紙の乾きが悪くなるんです。紙は生き物なんで、極端に言うと、季節なんかにも関わってくる話なんです。だからどういう写真を使うのか、事前に見せていただければわかりますよ」
などなど。言葉にしてしまうと数行で終わってしまうことなんですけど、実際はこれが原因で作業が数日中断してしまうこともあったりなかったり。

呑むわ食うわしゃべるわの5時間はあっというまに過ぎていきました。
釣りと日本酒に目がない尼ヶ崎さん。次回は尼ヶ崎さんの釣った魚で一献もうけたいものです。

12月 172012
 
 2012年12月17日  Posted by

来年公開予定の映画「ハロー!純一」にさきがけて、原宿ペーターズギャラリーで開催中の『「ハロー!純一」のいろいろ展』にお邪魔してきました。


監督の石井克人さん×映画美術の都築雄二さん×絵描きの下田昌克さんのコラボ展示会。


左の壁には、石井監督の膨大な絵コンテや、映画で使われた美術小物などがたくさん展示してあります。映画をつくることというのは、途方もなくたいへんな仕事だと実感しました。ワンカットワンカットが緻密に練られていて、いきいきとキャラクターが動いています。この部屋では撮影現場を疑似体験するように、映画全体の設計図をじっくりと鑑賞することができます。

右の壁は下田さんが描いた出演者のポートレート。最近、恐竜にドはまり中の下田さんが毎日描いている恐竜の絵も必見です。すこしずつ背景などが書き加えられていて、見るたびに発見があります。完成はいったいどうなっているのでしょうか。こちらもまた楽しみです。


さて、映画のストーリーは、パンフレットを抜粋させていただきます。

主人公は、弱虫で内気な純一君とその仲間達。彼らはそれぞれ小さな悩みを抱えながらも毎日を明るく過ごすどこにでもいそうな小学生。ある日、教育実習生としてアンナ先生が彼らの前に現れたことにより、彼らの日常に少しずつ変化が…。笑いあり、涙あり、そして、ちょっぴりシュールで感動も出来る子供達によるパンキッシュな青春ストーリー。

一階では映画のトレーラーが流れているのですが…それにしてもアンナ先生、エロ過ぎる。
「こんな先生本当にいたらやばいよねぇ」とつぶやいたところ、ペーターズギャラリーの佐伯さんいわく、
「いや、保育園とかにいくと、けっこういるんですよ」とのこと。いったいどこの保育園なのかがたいへんに気になります。

展示は12月23日までですが、22日(土)には特別試写もああります。今日から予約(メールのみ:patersato@paters.co.jp)も開始しています。


こちらはカメラマンの後藤武浩さんに撮影していただきました。汗だくで撮影した渾身の一枚。(本当はかなりの枚数撮ってます!)今日はぐっと気温が下がってまさに冬日といった装いですが、このギャラリーだけはアツイですよ!

読んでみない!?

11月 102012
 
 2012年11月10日  Posted by

銀座はすっかり冬のよそおい。大通りのど真ん中にある緑の看板が目印です。


まっすぐ2階へとつづく階段をあがると……にゃにゃーん!


こう見ると、猫本って、たくさんあるんですねぇ。ついつい片っ端から手にとってしまい、財布の紐がゆるゆるゆる〜。猫グッズを買おうと迷っていたら、次から次へとお客さんも絶えません。にゃんパワーをあなどるなかれ。


個性豊かなおすすめ本が並びました。左から、ミーさま、ふく(編集長兼CEO)さま、ミヤコ(ねこフェア企画部長)さま、サフィロとなっております。店頭にあるフライヤーでは看板猫たちのプロフィールも公開中♪

冬支度に猫本を1冊。ほっこりまったりはいかがでしょう。

P.S. 企画部長のミヤコさま、担当の吉江さん、従属関係が逆転している編集者のみなさま、お疲れ様です!

11月 052012
 
 2012年11月5日  Posted by


去年に引き続き、大好評企画第二弾、「ねこの手も借りてみました」フェアが、銀座の老舗書店、教文館ではじまりました! 去年は夏の開催だったので、今年はいつかいつかと待ちかねておりましたよ、吉江さん♪ ようやくお声がかかってひと安心のサフィロ氏。

詳細は、「【田中ミヤコ】「ねこの手も借りてみました」フェア(吉江・代筆)」をご覧ください。

そもそも猫好き編集者がおすすめの本を紹介するコーナーだったはずですが、どうやら従属関係が逆転している編集者ばかりのようで…心中お察し申しあげます。

ちなみに、悩みに悩みまくったサフィロ氏おすすめの一冊は、水木しげるさんの『猫楠―南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)』です。ツイッター速報によれば、フェアの設営中に、外国人の方がお買い上げされたようです。猫好きに国境はないんですねぇ。

フェアは11月30日(金)までです。銀座におたちよりの際には、ぜひとも教文館へLet's にゃー。

 

11月 052012
 
 2012年11月5日  Posted by


数日前から、暖房をつけずに仕事場の椅子に座っているのが苦痛になってきました。そんななか、「忘年会のお知らせ」というメールがいくつか送られてき、もうそんな時節なのかと唖然としてしまいました。『たのしい編集(仮タイトル)』の発行は12月の予定ですが、はたして間に合うのか、少々心配事でもあります。

とはいえ、着実にすすんではいます。先日は翻訳家・越前敏弥さんに取材をさせていただきました。ただいま原稿を起こしているところなのですが、はやくお目見えさせたい気持ちはまず抑えて、越前さんにいただいた新刊のご紹介です。

〈国名シリーズ〉の第一弾でもあり、エラリー・クイーンの処女作『ローマ帽子の秘密』が新訳で刊行しました。

肩は角張り、歩みに合わせて体が軽快に揺れる。濃い灰色の服を着て、小ぶりのステッキを携えている。鼻の上には、これほど頑健そうな男には不釣り合いなものが載っていた—ふちなしの鼻眼鏡だ。とはいえ、その上の額や、面長の顔の優美な輪郭や、明るい瞳は、行動より思索を旨とする人間のものだった。

エラリー・クイーンが登場するシーンですが、なるほど、表紙に描かれたちょっとS気があって小生意気そうなんだけど、見るからに切れ者そうな青年のイラストがしっくりきました。もう犯人を知っているミステリー愛好家の方々も、これまでとはひと味ちがうエラリー像を楽しめるのではないでしょうか。そしてなによりも、エラリー・クイーンファンクラブ会長の飯城勇三氏が、「最高の訳文」と太鼓判を押してますので、期待は高まるばかり。

私はまだ犯人を知らないので、これからじっくりと捜査していきたいと思います!